阿じ与志の天然トラフグ
先々週に続いて、阿じ与志に参上です。今晩は四人衆だ。(2007/10/20)
おいおい、ワシらを撮るらしいで。ハイ。チーズ!
横顔のほうがサマになっとるで。という人もおるそうやが、
自信があるのはやっぱり正面からやな。なあ、みんな。ソヤ、ソヤ。

●阿じ与志 生簀の天然トラフグ。シロ
ワシら活きで3キロ以上の極上モノ。 尻ビレが白いからシロと呼んでいいっす!
今夜の楽しみは、フグ。それに松茸だ!
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先々週に続いて、阿じ与志に参上です。今晩は四人衆だ。(2007/10/20)
おいおい、ワシらを撮るらしいで。ハイ。チーズ!
横顔のほうがサマになっとるで。という人もおるそうやが、
自信があるのはやっぱり正面からやな。なあ、みんな。ソヤ、ソヤ。

●阿じ与志 生簀の天然トラフグ。シロ
ワシら活きで3キロ以上の極上モノ。 尻ビレが白いからシロと呼んでいいっす!
今夜の楽しみは、フグ。それに松茸だ!
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座敷につくと、すぐにビールと付きだしがでました。まずは乾杯です。
小皿に四品のっています。何かな?

阿じ与志 時季の付きだし 栗と白さエビ フグ皮の煮こごり 河豚の昆布しめ 小芋
左の赤いのは、上が白さエビで下はなんと栗。これは栗料理というべきか?
真ん中の緑のは、上が裏ごしした黒枝豆で下は河豚皮。河豚の変わり煮こごり?
二つとも正解できず。こんな組み合わせがあるんですね!
右は河豚の昆布締め。下は小芋に渡りがにのそぼろかけ。
この二つはどうにか正解ということにしておきましょう。
バラエティのある付きだしでしたが、当てられないようでは、修行が足りないようです。
若女将の口上をよく聞いておけばいいのにね。話に夢中でごめんなさい!
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ふぐは不思議な魚です。何といっても内臓には猛毒。鱗の変わりに鋭いとげ。
頑丈な顎と歯で何でも食いちぎりそうだ。スペックからはどんな魚も戦意喪失ですが、
昔の日本人は命をかけて食った。他に食い物はいくらでもあったのに!
ふぐは他の魚に比べて極端に脂肪分が少ない(0.1%)のが特徴です。
だから、ふぐはあっさりしている。淡白だ。でも味がないのとは全く違う。
うまい飯のうまさをどう表現したらよいのだろう。でも日本人なら誰でもわかる。
ふぐはご飯と同じように、毎日食べても飽きないうまさなのだ。旨さに品がある。

▲阿じ与志のふぐ料理 ふぐ刺し
あの小説家、渡辺淳一氏がフグについてこう書いているのを知りました。
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私の故郷の北海道で河豚はとれない。だから、子供のころから食べたことがなかった。私が河豚をはじめた食べたのは、東京に出てきて作家となってからである。したがって
フグとの歴史はせいぜい二十数年にすぎない。
だが今や、冬になるとフグを食べないと落ち着かない。子供のころから成年期まで、
一度も口にしなかったものに、これほど狂ったのはフグがはじめてである。
他に、松葉かにやスッポンが年齢を経てから好物になったものだが、かにの場合は、
その前に、毛がにという似たような美味を知っていたので、新しい発見とはいいがたい。
スッポンも確かに旨いが、これはそう毎日食べたいとは思わない。ステーキのように
月に一、二回か、たまに食べてこそ妙味があるというものである。
だがフグだけは月に十日どころか、毎日食べても飽きない。しかも旨い。
*****************************************************************
ふぐの旨さというのは、日本人じゃないと分からないかもしれませんね。
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店に入るやいなや、全員てんでに女将に尋ねました。「松茸あるよね!」
女将すこし悲しそうに「あるにはあるけど、少し小さい」
ふ~む。松茸の名産地広島県も、もはや絶滅種に指定されそうかな?

▲阿じ与志の広島県産松茸
とはいえ、不満のないほどよい松茸でした。量もある。香りもよい。全員満足です。
半分を焼いて食べ、残りをふぐちりに入れようということで衆議一致しました。

▲阿じ与志の松茸料理 松茸の陶板焼き
ほどほどに陶板が焼けたところで、松茸をのせ、蓋をします。
おっと、ここで食い物にかけては真打のJK氏が決まり手の一言。
焼きすぎちゃいけないよ。傘の裏のひだに汗をかいたときが丁度いい
そうなんです。松茸は焼きすぎるとしなってしまい、香りも味も台無しです。さすが~。
いい指南役がいると、うまいものを旨く食べることができますね!
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ふぐ鍋は鍋を囲んで、熱々で食べるからうまい。これがまともな食べ方です。
ところが、高級なふぐ料亭で、客に鍋を見せず、碗に盛って出すところがあるらしい。
「フグが食いたい!」の著者、塩田丸男先生もあきれていましたが、全く同感です。
ふぐ鍋は、よい鍋奉行のもと、次はあれがいいといいつつ、ワイワイ食べるのが最高!

●阿じ与志の天然とらふぐ料理 ふぐ鍋
今夜のふぐ鍋。JK氏の子息、HK氏がいつものように鍋奉行に任命された。
彼は阿じ与志の広報部長と自ら称し、立て板に水のごとくウンチクを語れるのだ。
まずフグの切り身を入れ、グラっときたら、松茸を入れた。
「松茸はもういいですから食べてください。フグはでかいですから、まだですよ」
うん、うん。若いのに、なかなか、わかってるね。
春菊はさっとがいいとか、白菜は人によって加減に好みがあるとか、
口八丁手八丁で奉行を務めながら、自分もしっかり食っている!
SK氏は鰭酒を二杯飲んだ後、名もなき酒で、すっかり出来上がりだ。
気心の知れた仲間で鍋をやるのは最高。至福の時です。
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ふぐ鍋をすっかり平らげた。締めは雑炊に決めた。
若旦那の正ちゃんが、今夜は餅も入れましょうか。と聞いたので、
それは良いと、全員賛同。「ふぐの力雑炊」になりました。

先客さんたちもいなくなったので、全員カウンターに引っ越し、
チーム阿じ与志を交えてワイワイがやがや。
正ちゃんは鍋に向かい、旦那はレンジで何やら焼いてます。

●阿じ与志のふぐ料理 ふぐの力雑炊(餅いりのふぐ雑炊)
すましたフグの出し汁に、飯をいれ、黄韮を卵でとじてある。
焼き餅が底にしっかり入っている。雑炊は飯粒がしっかりしてなきゃダメですね。
さっさと食おう。うまい!今夜は、いつになく、飲めかつ食えます。
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これを読めば、どんな人でもフグを食べたくなるという本があります。
「フグが食いたい!~死ぬほどうまい至福の食べ方~」塩田丸男著 (講談社α文庫)

塩田先生。「一番うまい食べ物は何でしょう」という問いの答えは決まっているそうです。
フグですね。フグほどうまいものはない。一番があって、二番、三番がない。
というのがフグです。
この本は「フグは世界一の美味」ということを証明するためにだけに書かれた。
といっていい、類まれなるフグ礼賛本です。薀蓄大盛りですが、
惜しくも絶版になっているようです。ぜひ再版していただきたいですね。
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かの美食評論家、山本益博氏が、切れ味よく書いていらしゃいました。
私はなんでも質の高い仕事が大好き。阿じ与志で食べるようになってから、よそでめったに「美味い」と感じなくなりました。
料理では、安くて美味いは本来ありえない。
「美味い」には常に質の高い仕事を伴うもので、(たいていの人は)
安いなりのほどほどの味を、「美味い」と勘違いしているだけだ。
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グルメ評論家の山本益博氏は
「料理では、安くて美味いは本来ありえない」と断言されています。(下の記事)
ところが、安いものを美味くする魔法の食材があるのです。その名は油脂。
脳には、油脂を摂取すると脳内麻薬(エンドルフィン)を分泌させ、快感を感じる仕組みがある。多く摂取すれば、エンドルフィンも多量に分泌し、食べられると期待しただけでも分泌するようになるという。
つまり、油脂は脳に快感を与えるから、もっとくれ、いくらでもくれと脳は欲しがり、
欠乏することを嫌がる、麻薬のような食材。もうやめられない。とめられない!
「高カロリーの油ものをついつい食べ過ぎてしまう理由」
・・・京大大学院農学研究科伏木亨教授の研究グループが解明
油脂はどれほどの魔力が あるかという人体実験(?)もやっています。それによれば、なんとティシュペーパーや落ち葉の揚げ物を、被験者はとても美味いと感じています。
テレビ番組(トコトンハテナ)
安くて美味くなるのなら、それもいいじゃないか。と思うのは大間違い。増加する成人病の根本原因、万病の元は油脂と砂糖の取りすぎだという警告の書があります。
「美味い食事の罠~砂糖漬け、油脂まみれにされた日本人~」堀内秀夫著:宝島新書

油脂=揚げ物(天ぷら、フライ、から揚げ)だけだと思っていて、あらゆるカタカナ食(加工食品、ファーストフード、惣菜、外食)に多量に含まれていることを知らないで、無警戒に食しているのが大問題だという。
例えば、朝食の食パンは、わずかな小麦粉と多量の油脂と砂糖でできているそうで、
食パンにバターやジャムを塗るのは、菓子を食べているのと同じことだそうです。
著者は、健康食品だ、サプリメントだ、栄養バランスだと神経質になることよりも、
大切なことは、ご飯を主食とする昔の日本食(和食)に戻ることだと主張しています。
本当に、目から鱗が落ちるような本でした。
安くて美味しいカタカナ食は、脳が欲しがっても、ほどほどにしないといけませんね。
そういえば、揚げ物料理はやらないという、いまどき珍しい魚料理屋がありましたな。
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今年も阿じ与志では、つつがなく10月から河豚がはじまりました。
いざ、出陣です。今年の河豚はどうかな?
さっそく出たつき出し。これは珍しい!

阿じ与志の蜂の子料理 蜂の子の佃煮
なんと蜂の子。スズメバチの幼虫と成虫です。
「蜂追い」は長野県では有名な秋の行事(?)らしいですが、
阿じ与志のは地元産。年に一度だけ入荷できるそうです。
佃煮風に料理してありますが、ちっとも姿がくずれていません。
幼虫はやわらかく、成虫は皮がパリっとしています。
まさに珍味。出会えてよかった!
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つぎにでたつき出しは、どう見ても鮑ですが、煮たような色合いをしています。
聞けば、「蒸し鮑」といい、江戸前寿司では定番ネタだそうです。
しかし、蒸し鮑といっても、たいていが酒を入れた水で煮た、煮物。
阿じ与志の蒸し鮑は、正真正銘の蒸し鮑です。

阿じ与志 鮑料理 蒸し鮑
蒸し鮑。塩をしてから、じっくり蒸して作るそうです。
やわらかく弾力のあるかみごこち。鮑の旨味が本当によくでていて、
変な話ですが、味付けしてあるとしか思えませんでした。
刺身とはまた違った味わいがありますね。
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河豚を食べるなら、ぜひひれ酒もやりたいものです。
ご存じない方のために、ひれ酒のおいしい飲み方をご紹介します。
ひれ酒は、あぶったひれに熱燗を注ぎ、蓋をして出されます。
もてないほど熱いから、竹篭つきの蓋碗です。(熱くないひれ酒は?です)
マッチに火をつけ、蓋をとって近づけると、ボッと青白い火がつきます。
かなりの勢いですから、はじめての人はちょっとびっくりします。
長軸のマッチが用意されてますので、離してやってください。

▲ポップなデザインの長軸マッチ。これなら安心です。
燃やすことで、ヒレの余分な脂がとび、味がいっそう柔らかくなります。
少ししたら蓋をかぶせて消しましょう。酒のアルコールが抜けてしまいます。

▲きつね色した大きな鰭が入っていて、リッチな気分になれます!
ひれを取り出し、蓋にでも置きましょう。
ヒレから旨みが溶け出し、酒はしっかりあめ色しています。
香ばしいかおりと、まろやかな味。とても飲みやすいです。

▲これが阿じ与志のふぐのひれ酒
飲み干したら、取り出したヒレを再び入れて、もう一杯と頼めばよろしい。
口当たりがいいからと、ぐいぐいいくと後でかなり効きます。ご用心!
講釈が長くなりました。鉄刺もでましたので・・・
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ふぐ料理といえば、ひれ酒、ふぐ刺し(鉄刺)とふぐちり(ふぐ鍋)、それにふぐ雑炊。
年末からは、白子塩焼と白子酒が加わる。これが定番でしょう。
たいていのお店にあって、阿じ与志にないふぐ料理があります。
それはふぐのから揚げ。店主に理由を聞いたことがあります。答えは、確か・・・
から揚げはどんなふぐでも同じ味にしてしまう。うちのふぐでやるのは、ふぐに失礼だ。
などと思い出していると、定番のふぐ刺しがでました。

▲阿じ与志のふぐ刺し(鉄刺)
ふぐは、白身の魚の中でも特に脂質が少なく、淡白で上品な味が持ち味です。
繊維質で弾力のある身質が特徴です。東京の人が愛でる大トロとは対極にあります。
ふぐ刺しは、端的にいって、噛み心地と、のどごしを味わうものです。
ポン酢はさっぱり感を増すもので、これでふぐ刺しは飽きることなく食べられます。
ざるそばに似ている。シンプルだが、うまいものとまずいものには天地の差があります。
でも、食べ比べれば誰でもわかるかと聞かれると自信がありません。今の日本人は、
外食や加工食品で、素材がなんだかわからないほど味が濃厚な料理に慣れてしまい、
食材の微妙な持ち味を味わえる、特有の能力を失いつつあるように思えるからです。
えらそうなことを書きました。ともあれ、変わらぬ阿じ与志のふぐに、まず乾杯!
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ふぐ料理について、これまであれこれ書きましたが、
東京で超有名な数店の、お客さんの書いたレビューを読んでいると、
何度でも、繰り返してもいいような気がしてきました。
そもそも、天然とらふぐと称しているが、あやしい店もありそうです?
ふぐ鍋は、野菜類もふぐの切り身も、ごった煮にしているようです。
仲居さんが碗に取り分けるのは、たんに回転率を上げるため?
すぐに餅を入れるところがある。出汁がにごり、だいなしです!
仕上げの雑炊は、鍋の出汁を濾すこともなく、そのまま飯を入れ、
「じっくり」煮込むそうです。これじゃ、残り物のおじやです!
福山の阿じ与志にも、東京から寄り道して来てくださるような時代になりました。
ありがたいことですが、東京とは違うじゃないか。やっぱり田舎だな。
と、思われるのもしゃくですから、はっきりいいます。
東京の有名店。値段は高いが、高級なふぐ料理とはいいがたい。

阿じ与志のふぐ料理 ふぐ鍋
阿じ与志のふぐのようにでかい切り身は、二切れほど鍋に入れただけで、
出汁が沸騰しているような状態でも温度が急に下がります。
この時、野菜や、まして豆腐などを続けて入れると、温度は上がらない。
低い温度で煮ては、切り身もうまくないし、野菜はぐにゃぐにゃです。
基本は、順番に入れること。鍋の出汁がぐらぐら沸騰してから、
まず切り身を入れ、骨まわりまで熱が通ったようなら、あつあつで食べましょう。
次に、野菜を入れますが、春菊などは出汁をくぐらせる感じで引き上げることです。
白菜も葱ぐだぐた煮ては、ぶちこわしです。豆腐は「す」ができますよ。
ふぐ鍋は間があいても、ひれ酒でも飲んで、じっくり食べればいいのです。
皿のものを全部平らげたら、「雑炊」か「茶漬け」か「もち」で仕上げます。
いずれの場合でも、一度鍋を引き上げ、出汁を濾し、味をととのえられる。
雑炊なら、飯粒に出汁が吸い込まれる前の熱いうちに、さっさっと食べましょう。
シーズンはじめてのふぐの記事は、食べ方教室みたいになってしまいました。
東京の皆さま、お気に触ったらごめんなさい。あまりの掟破りについ。
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例年なら、広島県では九月中旬には松茸の便りがあるのですが、
10月になっても音沙汰がありません!
解説によれば、松茸は地面が19度になると発生するとのこと。
今年は異常な暑さが続き、地温が下がらないそうです。
だんだん日本から四季が失われてゆくようで、温暖化っていやですね。

▲松茸。北信州の道草図鑑からお借りしました。
松茸は、傘の裏の膜が切れるころが一番香りが強いし、味もいい。
そのためには、つぼみの時に収穫するのがよいのですが、
地表から少し出た程度で、しかも、たいてい落ち葉の下に隠れていて、
見つけるのは、プロじゃないと難しいようです。
(追記)10月9日。やっと初入荷があったと、地元TVニュースが知らせていました。
阿じ与志も、同日入荷したそうです。さすがだね。秋がやっときました!!
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