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福山バラ祭りの夜は (阿じ与志 広島県福山市)

本日(5月17日)は「福山ばら祭り」の初日。日中は汗ばむような陽気でした。
町の商店街も、珍しいくらい(?)賑わっていました。いいことですね。

夕方からは、バラ公園経由の阿じ与志行き。到着は六時ジャストの予定です。
五月だから主役は石鯛のはずですが、どんな料理が出るのか楽しみです。

Ajiyoshiikesu

店には一番のり。どんどんお客さんが来て、あっという間に大賑わいです。
生簀には石鯛、あこう、それに鱧も。初夏を感じます。ここもにぎやかだね。

さて、料理のほうは・・・・

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5月の付きだし (阿じ与志 広島県福山市)

つきだしは正式には突き出しと書きます。
今の若い方には、相撲の決まり手を連想させ、すこし乱暴な感じがしますので、
このブログでは付きだしと書いています。

店に入って最初に酒を注文すると、(自動的に?)ついてくる一品料理のことです。
これは小料理屋さんのしきたりで有料です。まあテーブルチャージみたいなものです。
酒と同じタイミングで出ますが、たいていが付けたしのような料理です。(注)

でも、阿じ与志のは、決して間に合わせの料理じゃありません。
今日の付きだしは何だろう?お楽しみの一品料理になってます。

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阿じ与志 五月ある日の付きだし 大蛸の刺身・鱧卵焼き・煮小鮑

生の大ダコの足をこんなに厚く切ると、噛み切れないのではと思いきや、
身が引き締まっていて、快適な噛み心地です。磯の香りを感じました。

鱧のすり身が入った鱧卵焼き。ふっくら焼けておいしい。ワタシの好物のひとつ。

小鮑はトコブシに似てますけど、鮑の子供。薄味の味付けで、
柔らかく、こりこりした食感はしっかり残してあります。

付だしをもたもた食べていたら、どうやら、次の料理が・・・

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注)
日本料理屋のしきたりをあまりご存じない、若い方に向けて書きました。
なお、「つきだし」は関西の言葉で、関東では「お通し」といいます。
懐石料理系では「先付け」ともいいます。三つはほぼ同じ意味です。


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あさり酒蒸し (阿じ与志 広島県福山市)

あさりの時季です。子供と行った潮干狩りが懐かしい!
こんなに立派なアサリは獲れませんでしたけれど・・・・・・・

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阿じ与志 アサリ料理 アサリの酒蒸し

アサリを陶板に並べてコンロにおき、酒を振りかけて、蓋をする。
それだけのように見えますが、どうしてこんなにうまい料理になるのだろう?

大きな身が美味なことは承知です。汁もうまいので全部飲みたいのですが、
陶板が熱いので口もつけられず、いつも残ります。残念でたまりません。

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カツオ刺身 (阿じ与志 広島県福山市)

五月(さつき)の季節感をあらわす有名な俳句があります。

目には青葉山ほととぎす初鰹 (注)

阿じ与志。今年の初鰹は四月初旬でしたけど、
すさみケンケン鰹」がすっかり気に入り、時季の定番になりつつあります。

Kenkenkatuo

阿じ与志の鰹料理 ケンケン鰹の刺身

鮮度がいいので、生姜ではなく山葵で食べるのを、すさみ漁協では薦めています。
生姜は生臭み(鮮度が落ちると出る)を消すためだからだそうですが、一理あります。

この時季の鰹は脂がまだ乗っていないので、本来はさっぱりしています。
そこで、切身にピリッとするニンニクをのせ、その上に山葵を置き、
刺身醤油で食べるのが、この鰹を味わう阿じ与志のスタイルです。

本日の鰹は皮目を残し、食べやすいよう美しく包丁を入れてあります。

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注)
江戸時代の俳人、山口素堂 (1642~1716)の作です。
「目に青葉山ほととぎす初鰹」と読まれることが多いですが、
正式には字あまりの「目には青葉」と、「は」が入るそうです。

こちらのサイトの方によれば、江戸時代の初鰹はとても高く、
到底、庶民の口に入る代物ではなかったようです。(一匹90万円!)
そこで、この句は次のように解釈するのが正しいとされています。

目には青葉、耳にも山ほととぎすが聞こえる清清しい5月になったので、
初鰹が口に入ったら言うことないのになー

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サザエつぼ焼き (阿じ与志 広島県福山市)

サザエの殻にはツノがつきものですが、瀬戸内海のサザエにはツノがありません。
波が穏やかだと必要ないからだそうです。(ツノが転倒防止の働きをする?)

サザエといえば、つぼ焼きということになっています。

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阿じ与志 サザエ料理 サザエつぼ焼き

実はワタクシ、サザエの肝(というのかワタというのか奥にある内臓?)が苦手です。
苦いだけで、ちっともうまくないと思います。(好きな方には、ごめんなさい)

アレが入っていると困ったなと思いつつ、入口から切身をつまみ出して食いました。
つぎつぎと奥まで引き出しましたが、最後までありません。う~ん。
取り除いてあることからすると、やはり美味くないんですね。

そうそう、身を平らげたら、巻貝にたっぷり残った汁を飲み干しましょう。
つぼ焼きの値打ちはこの汁にある。と思えるほど美味いですから。

つぼ焼きなんて簡単に作れますけど、料理となると天地の開きがでます。

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アオリイカ料理 (阿じ与志 広島県福山市)

アオリイカ。当地ではミズイカと呼ばれているように、身は半透明。
海中ではどこにいるのかわからないそうです。

まるでステルス戦闘機。餌をとるには十分すぎる性能ですけど、
イカ好きのヤマト民族には効果なし。最高級のイカと目をつけられてしまった!

産卵のため浅場にいく今の時期は、旬として特に狙われてしまいます。

Aoriika

阿じ与志のアオリイカ料理  アオリイカ醤油焼き

アオリイカは身質が堅く締まっていて、甘みがあるところがいいですね。
刺身も美味いですが、本日のように醤油焼きにしても、香ばしい香りに、
歯ごたえといい、甘みといい、格別なイカだと実感します。

細かい包丁目は、このイカの繊細で上品な味を表現しているように見えます。

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石鯛薄造り (阿じ与志 広島県福山市)

さてさて、本日も真打の登場。五月の主役は石鯛。別名、黒口(クログチ)です。

阿じ与志では五月の主役ですけど、月を通して登場することはまずありません。
二週間、長くて二十日くらいした出演しない、気まぐれでわがままな役者です。

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阿じ与志の石鯛料理(黒口料理)  石鯛薄造り

石鯛は、フグの次に身の堅い魚といわれています。
だから、刺身は薄造りが適しています。

フグと同じように、ポン酢でいただきます。
こりこりしたところはフグに似てますが、甘みが強いです。

お隣のご贔屓に「石鯛の香りはなんともいえないね」と同意を求められました。
その域にいまだ達せないワタシは、あいまいにうなずきました。(汗!)
お気に入りの久保田をすすめながら、つづけてご贔屓いわく、

美味い石鯛が揚がる九州の島には何度も行きました。
確かに魚はいいですが、料理になってなかった。
あちこちの美味いといわれる店で散々食べましたが、
阿じ与志が日本一と断言できます。

こんなお客さんばっかりなんですから、阿じ与志も幸せものです。


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石鯛兜焼き (阿じ与志 広島県福山市)

石鯛でも大物はクチグロ、当地では黒口(クロクチ)と呼ばれています。
口の周りが黒いところからつけた名前で、実に分りやすいですね。

黒口をみると、ワタシはあの人の顔とだぶります。そう、カールおじさん
だからか、強くて怖そうに見えるけど実は愛嬌のある魚。だと思っています。

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阿じ与志の石鯛料理  石鯛の兜焼き(黒口の兜焼き)

同じ鯛と名がついても、真鯛が優美な光源氏なら、石鯛は勇猛無双の源為朝。
兜焼きは、お上品に箸で食べることなど不可能な料理。石鯛にふさわしい料理。

骨や鰓などを手で裂くように取りつつ、骨付き肉の要領でかじり、しゃぶります。
白身には脂がよくのり、甘みも強い。メリハリのきいた分りやすい美味さです。

骨周りには隠れるように身が詰まっています。見逃さないでください。
目や、口周りはゼラチンの豊富なところ。そうそう、皮が特に美味しい魚です。
残しては兜焼きを食べたことになりません。骨の山ができたら拍手喝采!

こんな食べ方も、美味い魚と本物の料理人に対する敬意の一つだと思います。

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海うなぎ料理 (阿じ与志 広島県福山市)

今晩の阿じ与志はいつになくバラエテイがあった。
大タコ、アオリイカ。貝は小鮑、アサリ、サザエ。魚は鱧、鰹、それに石鯛。
十分に堪能したので、そろそろ・・と思っていたら、

今日は鰻が入っているから、食べていかなきゃダメだよ。と店主。
いそいで、別腹を用立てることにしました。

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阿じ与志の海うなぎ料理 鰻丼

関西の鰻が好きになれません。脂っぽいうえになんだか骨っぽい。
ふあ~とし、さっぱりめの江戸の鰻が好きなワタシです。

阿じ与志の鰻は海で育った天然の海うなぎ。
養殖物のような過剰な脂がない。泥臭さがない。
これを、阿じ与志は関西風に蒸さずに焼くのだが、

身がふんわりとして、皮はパリッとしてます。適度な脂分です。
タレも甘すぎず、辛すぎず抑制されてます。
出来立ての鰻丼は、まったくもって美味い。

こうして今夜も阿じ与志で至福のひと時をすごしたのでありました。

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小野二郎氏 タイをかく語りき

なぜ三ツ星の鮨屋、「すきやばし次郎」の鮨種にタイがないのか?
理由を、店主の小野二郎さんが以下のように語っていました。(注1)

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▲小野二郎師匠(フジテレビNONFIXより)

うちの店で扱う白身は、夏場が常磐沖のマコガレイ、冬場が青森あたりのヒラメです。
・・・白身といえばタイを連想する方も多いでしょうが、私は扱いません。
本当にタチのいいタイは、東京の築地には来ない確信があるからです。

というのも私は28歳のときから6年大阪の鮨屋の雇われ親方をしていました。
・・・・そこで初めて明石のタイに出会うのですが、もうそれは感激だった。
はちきれそうな身の張り、深い色、香り、甘み、かみ心地。

とにかく大阪、関西は刺し身といえばタイ、姿焼きやあら炊きもタイ。タイだけはまるごと
一匹食い尽くすという土地柄で、どうしたってその格にはうるさい人が多かった。(注2)

ですから明石、鳴門、淡路あたりで揚がる最高のタイは、そのまま関西圏で消費され、
今だってこっちにはなかなか来ない。築地にも千葉や神奈川方面から上物は来るけれ
ど、向こうの天然物には負けます。結局、向こうの海の水がタイに合うんでしょう。(注3)

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注1)
「鮨を握る 小野二郎(6)」読売新聞連載:時代の証言者(2008/5/15)より引用
注2)
阿じ与志のお客さんは、たいていがその「うるさい人」です。
注3)
明石鯛は昔から有名です。かの魯山人先生も明石鯛は格別と書いています。
しかし、わざわざ「瀬戸内海鞆の浦辺りで獲れるもの」とことわりを入れていますので、
正確に言えば、先生がほめたのは当地、備後灘か燧灘のタイということになります。
最高のタイは明石産だけではないことを申したく、恐れ多くもつけ加えます。

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