小野二郎氏 タイをかく語りき
なぜ三ツ星の鮨屋、「すきやばし次郎」の鮨種にタイがないのか?
理由を、店主の小野二郎さんが以下のように語っていました。(注1)

▲小野二郎師匠(フジテレビNONFIXより)
うちの店で扱う白身は、夏場が常磐沖のマコガレイ、冬場が青森あたりのヒラメです。
・・・白身といえばタイを連想する方も多いでしょうが、私は扱いません。
本当にタチのいいタイは、東京の築地には来ない確信があるからです。
というのも私は28歳のときから6年大阪の鮨屋の雇われ親方をしていました。
・・・・そこで初めて明石のタイに出会うのですが、もうそれは感激だった。
はちきれそうな身の張り、深い色、香り、甘み、かみ心地。
とにかく大阪、関西は刺し身といえばタイ、姿焼きやあら炊きもタイ。タイだけはまるごと
一匹食い尽くすという土地柄で、どうしたってその格にはうるさい人が多かった。(注2)
ですから明石、鳴門、淡路あたりで揚がる最高のタイは、そのまま関西圏で消費され、
今だってこっちにはなかなか来ない。築地にも千葉や神奈川方面から上物は来るけれ
ど、向こうの天然物には負けます。結局、向こうの海の水がタイに合うんでしょう。(注3)
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注1)
「鮨を握る 小野二郎(6)」読売新聞連載:時代の証言者(2008/5/15)より引用
注2)
阿じ与志のお客さんは、たいていがその「うるさい人」です。
注3)
明石鯛は昔から有名です。かの魯山人先生も明石鯛は格別と書いています。
しかし、わざわざ「瀬戸内海鞆の浦辺りで獲れるもの」とことわりを入れていますので、
正確に言えば、先生がほめたのは当地、備後灘か燧灘のタイということになります。
最高のタイは明石産だけではないことを申したく、恐れ多くもつけ加えます。
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